テーマ: 栃木県の主な市自治体における海外交流の現状と今後の動向 2002年 12月15日
990151M 武藤幸夫
1.
背 景
栃木県は人口約200万人を有する日本の中堅の県(平成12年度調査で頭から20番目に多い人口県)である。
栃木県南部における日々の人口移動、つまり都会への朝夕の通勤通学は日常的になっており、少なくとも栃木県南部地域は東京都ビジネス圏のベッドタウン化していると言えよう。この意味において、東京のグローバル化の一部を構成する環境下に入っているといえる。かたや現在のあらゆる分野でのグロバリゼーション(世界化)の中で、栃木県としても東京商業圏の影響のみならずグローバリーゼーション(世界化)の影響をポジティブ(前向き)に生かしてゆくことが求められている状況にある。このような社会環境下で、栃木県内の主な市自治体も海外との交流が必然的に進みつつあると思われるため、この現状と今後について調査する。
2. 目 的
栃木県内の街を代表する市自治体が、現在どのような海外交流を行っているかを知ると共に、今後どのような方向(動向)に進めようとしているのかを把握する。
3.
調 査 対 象
下記栃木県内の7市自治体を対象として調査する。
1)宇都宮市、 2)栃木市 3)足利市 4)佐野市 5)鹿沼市
6)小山市 7)日光市
4 調 査 方 法
・ 海外交流の現状についてはインターネットでの調査を主体とし、必要に応じて電話等で聞き取り調査を行う。
・ 海外交流の方向性(動向)については電話を主体として調査する。
“電話調査のポイントとして下記項目を含める”
・今後の大きな動向・方向性、何らかの計画の有無
・実務者人事交流(例えば、1年間の専門職員実務交換など)
・お金(財政・予算)
5.
各市自治体の海外交流の現状(各市のインターネットホームページ住所を含む)
1)宇都宮市
宇都宮市国際交流協会が主体になって交流活動を行っている。
*組織: 協会専任メンバーと市役所出向メンバー(秘書課の人が1人)―が主体となり、市民、企業や団体などのボランティアと協力して運営推進している。具体的には8つの部会(日本語、地域交流、学生、海外支援、通訳、ホームステイ、
日本文化紹介、広報)で交流展開を実施している。
*主な活動内容:
・日本語講座開催
・会報発行(年3回予定)
・地域在住外国人との交流(工場見学、ハイキング、料理教室、留学生との交流など)
・通訳派遣
・姉妹友好都市との交流(中学生・高校生・青少年の派遣、学生・研修生の受け入れ、訪問団の受け入れなど)
・ニュージーランドのマヌカウ市(姉妹都市):
提携日1982年2月24日、人口約24万、オークランド市のベッドタウンとして発展した市。
・中国のチチハル市(友好都市):
提携日1984年9月30日、人口約590万、黒竜省における第2の市。
・フランスのオルレアン市(姉妹都市):
提携日1989年5月7日、人口25万、パリの南方約115kmに位置している。
・アメリカのオクラホマ州のタルサ市(姉妹都市):
提携日1992年7月10日、人口約38万、オクラホマ州第2の市。
・イタリアのピエトロサンタ市(文化友好都市):
提携日1995年8月3日、人口約2.5万、ルネッサンス発祥の地(フィレンツエ)の西方約80km
に位置している。
*e-mail: http//www.city.utsunomiya.tochigi.jp/bs/bs-kk/kb-kk-007.htm
2)栃木市
栃木市国際交流協会が主体になって国際交流を行っている。
* 組織: 協会専任メンバー(1人)と市役所出向メンバー(秘書課の人が1人)が主体になって、市民、企業や団体などのボランティアと協力して運営している。
*主な活動内容:
・日本語講座開催
・地域在住外国人との交流
・友好都市との交流
・中国の金華市(友好都市):
提携日1990年1月、人口450万、上海の西南方約300kmに位置している。
・アメリカのインディアナ州のエバンドミル市:
提携日 、人口 、
* e-mail:http//www.t-cnet.or.jp/~tochigic/profile/yuukou/yuukou.html
3)足利市
足利市国際交流協会が主体で国際交流を行っている。
* 組織:
*主な活動内容:
・在住外国人との交流
・語学学習
・異文化理解
・ボランティア通訳、ホームステイの協力
・青年海外協力隊帰国報告会
・外交の窓inあしかが
・青少年の国際交流エッセイコンテスト
・アメリカンビレッジ
・友好(姉妹)都市交流
・アメリカのイリノイ州のスプリングフィールド市
・中国山東省の済 市
* e-mail: htty://tia21.or.jp/danntai/danntai/001.html
4)佐野市
佐野市国際交流協会が主体になって国際交流を行っている。
* 組織: 協会専任メンバー(市役所OBが1人)と市役所出向メンバー(1人)が、市民や企業や団体などの
ボタンティアと協力して運営を実施している。
*主な活動内容:
・国際交流ニュースの発行
・外国人向け生活便利帳、ガイドマップその他の資料配布
・日中友好佐野市民訪中団体の派遣
・ランカスター市中学生ホームステイ受け入れ及び佐野市内中学生の教育交流派遣
・国際交流フェスティバルの開催
・日本語教室開催
・外交人の「海水浴」、「富士山ツアー」(内容は毎年変わる)事業の開催
・親善・姉妹都市との交流:
・アメリカのペンシルバニア州のランカスター市:
提携日19994年10月1日、人口 、アメリカで最も古い内陸都市のひとつ。
・中国の 州市(中華人民共和国 省):
提携日1997年11月11日、人口約240万人、自然身恵まれた歴史ある都市。
*e-mail: htty://www.sunfield.ne.jp/sanocity/02guide/htm/koryu.htm
5)鹿沼市
鹿沼市国際交流協会(KIFA)が主体になって、国際交流を行っている。
* 組織:
*主な活動内容:
・交流交歓
・語学教室・講座
・情報収集提供
・人材バンクの活用およびボランティア活動支援
・関係の深い都市との交流
・中国の鉄嶺市
・オーストラリアのアーミディル・ヂュマレク市
*e-mail: http://tia21.or.jp/dantai/dantai/040.html
6)小山市
* 組織:
*主な活動内容:
・日本語講座
・地域外国人との交流
・友好都市との交流:
・中国の本渓市:
提携日1994年10月28日、人口約155万、遼 省中部に位置した美しい自然に恵まれた都市。
* e-mail:http://www.city.oyama.tochigi.jp/kouryu/index.html
7)日光市
日光市国際交流協会はないが、民間の日光国際交流協会が2002年11月9日に発足した。
* 組織:
*主な活動内容:
* e-mail:http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/colum02/021113c.html
6.
各市自治体の海外交流に対する今後の方向性(動向)
1)宇都宮市
電話で話した結果、下記のような内容を教えてもらうことが出来た。
*今後の動向・方向性:
今まで国際交流協会としては協会、市(出向)そして市民・企業・団体ボランティアが協力して国際交流を運営
展開してきた。しかし今や地方自治はこれまでの中央集権型から地方分権型に転換しつつある。このことは地方自体
においても同様で、今まで何かというと行政(市)が絡んできたが、これからは個々の市民(企業・団体含む)が
出来ることは市民がやるということが求められて行く時代ニーズになってきている。従って国際交流も例外ではなく、
出来るだけ民間(市民・企業・団体などを含む)を主体にした(例えばNPO,NGOなど)運営活動に向ってゆくことが
必然的に求められてゆくだろう。しかしこれは“市民の声を第一に”検討・展開されることが必要である。つまり市民が
どう考え、市民がどこまで実践するかがポイントになってくると言えよう。
*実務者人事交流とお金(財政・予算)については、世相を見て分かるようにとても余裕はない状況といえよう。
2)栃木市
電話確認の結果、下記のような内容を得ることが出来ました。
*今後の動向・方向性:
栃木市の場合も大きな方向性としては宇都宮市と同様であるといえよう。現在の地方分権の時勢を踏まえて、行政(市)も
市民や民間も前向きに捉え、出来るだけ“行政(市)の手から民間の手へ”の運営活動に向かって行きつつあるといえる。
無論市民・民間の声を基本に進展させることが要求されることになる。ただ国際交流の場合相手国の状況を考慮する必要が
あることも教えてくれた。例えばアメリカの場合、国際交流などはNGOやNPOなど民間団体などが中心になって展開
することが一般的となっているが、中国などは民間中心よりも行政(市)が関与していた方がベター又は喜ばれるようである。
相手国の政治体制や社会環境を考慮することが必要となってくるといえる。
*実務者人事交流とお金(財政・予算)については、宇都宮の場合と同じく余裕はないといえよう。
3)足利市
4)佐野市
電話で確認した結果、下記の内容を教えてもらえた。
*今後の動向・方向性:
佐野市の国際交流の場合も大きな方向性としては、“市政”から“市民(民間)”への方向にあると言えよう。今までの“何でも
行政“の考えから”民間で出来ることは民間で“の方向性であるといえる。つまりNGO,NPOなどのボランティア活動を前向き
に取り入れてゆく方向にある。
*今後の予定と特徴:
・その一つは姉妹都市になっているアメリカのランカスター市から、佐野市の全中学校へALT(Assistant Language Teacher)を
配属しており、今後も充実して行く方向にある。
・二つ目は、毎年恒例の“国際交流フェスティバル”には、交流外国の外交官にも来てもらい親善を深めており10回目を迎えて
いる。今後も前向きに実践し、佐野市の国際交流をより特徴づけて行く方向にある。
*実務者人事交流とお金(財政・予算)については、佐野市でも厳しい現状であるといえる。
5)鹿沼市
6)小山市
7)日光市
7.
感 想